超硬合金の粒成長は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などの結合相金属の溶融による液相中へのWCの溶解と析出による。すなわち、WC微粒子は溶解し、その溶質がWC粗粒子上に析出して粗粒子がさらに成長する機構で粒成長する。超硬合金の粒成長抑制は、主にこの液相中でのWCの溶解、析出現象を抑えることにより行われる。一般的には、他炭化物の添加によりWCの粒成長を抑える方法が採られており、この機構は、液相中へ他炭化物が優先的に溶解し、WCの溶解量を抑えること、およびWCへの析出を押さえることと考えられている。この効果は、VC>NbC>TaC>TiC>Cr
3C
2の順となりVCが最も有効とされている。しかし、VC量が多いと冷却時に粗大(W、V)C相が晶出し、機械的特性が低下するため、添加量は固溶限より少なくすることが必要となる。最近の超微粒合金では、複数種の炭化物の固溶により他炭化物の液相中への総溶解量を増やし、他炭化物の晶出を防止し、結果的にWCの溶解を更に抑える方法、例えば、VCとCr
3C
2、TaCとCr
3C
2の複合添加が多く用いられている。数値計算研究によると、0.1μm以下では粒成長は本質的に顕著になるとされる。
粉体粉末冶金用語辞典 より
編者:(社)粉体粉末冶金協会
発行所: 日刊工業新聞
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